以前、トマトの植え付けについて記事を書きましたがその時コンパニオンプランツについても少し触れました。
いわゆる共栄(共生)植物として、一緒に植えたり前後作に育てると良い植物のことですが、中でもトマトを植え付ける際、根を絡ませるように一緒に植え付けると良いとされるニラがあります。
今回はなぜトマトにニラが良いのか少し掘り下げた上で、トマトのおすすめコンパニオンプランツをご紹介します。
土壌の微生物
在来の畑では一年に何度も耕耘機で土をかき回すことで、多くの微生物を排除してしまいますが本来自然界の土壌には1グラムに1億程の微生物が棲むといわれています。
その種類はバラエティに富んでいるため、微生物が特定の植物に害を与えることは少なく、かといって有益な効果を与えるでもありません。
そんな中で野菜が病気になるということは、特定の病原菌(細菌、バクテリア、ウィルスなど)が異常に増えてしまい、根からの侵入を防ぎきれなくなったということです。
土の中でも特に微生物が多くいるのは腐葉土などの有機物やミミズなどの土壌生物のまわり、さらには植物の根の付近です。
野菜に有害となる病原菌もまたその付近に集まることになるので、連作などで特定の菌が増殖する条件がそろってしまうとそのバランスが崩れ、野菜は根から病気になってしまうわけです。
拮抗微生物
そこで必要なのはその病原菌となる物質に抵抗してくれる抗生物質です。
それらの菌を「拮抗微生物(きっこうびせいぶつ)」といいますが、ネギ類の根につく菌もその一種で、ナス科やウリ科の連作障害の原因となる土壌病原菌を退治してくれることが分かっています。
ユリ科ネギ属の根につく「バークホルデリアグラジオリ」という細菌がウリ科の病原菌を抑制してくれる働きがあることが先に発見され、その後にナス科の植物にも応用できることが分かったようです。ネギ類の仲間の根は太いため、より根圏の環境を変える力が強いのも要因のようです。
トマトにニラが良いわけ
先述のようにトマトはナス科ですからネギ類との相性が良いと言えるのですが、その中でも特にニラが相性が良いとされます。
その理由は根の伸び方にあるようで、トマトをはじめ、ピーマン、ナス、シシトウなどのナス科の植物の根は深く伸びます。
根を一緒に絡ませる必要があることからも同様に深く伸びるものが良いのです。ユリ科ネギ属の中ではニラがそれにあたると言うわけです。
反対にキュウリ、カボチャ、スイカなど、ウリ科の植物の根は浅く広く伸びるので、同様の伸び方をする長ネギを根に絡ませるのがベストと言えます。
トマト+ニラのまとめ
というわけでトマトと一緒に植え付けると病気を防いでくれるニラですが、植え付け後は分げつして株が増えますがあまり放っておくと根の働きを止めてしまうそうです。
そのため20日に一度は刈り取って収穫すると良いでしょう。
刈り取ることで香りがさらに漂い、キスジノミハムシをはじめ、害虫を避ける効果も増し、根も活性化します。
再度、まとめると
- トマトの株より一回り大きく穴を掘る
- 両脇にニラを寝かせるように2,3株おく(トマトの根に接触させる)
- ニラは20日に一度くらい刈り取って収穫
- トマトの収穫後、ニラはアブラナ科の野菜の付近に植えると良い(忌避効果)
他にもまだあるトマトと相性の良いコンパニオンプランツ
トマトと相性の良いコンパニオンプランツの中でも、特におすすめなのが落花生です。
家庭菜園ではスペースに限りがある場合が多いと思いますが、落花生は通常通りの株間でトマトを植えた後、その間に、むしろトマトの株元に種を蒔き、育てると次のような効果を発揮します。
- 落花生につくアブラムシを食べにテントウムシやヒラタアブなどの天敵がやってきて、これらの虫がトマトに付くアブラムシをも退治してくれる
- 水分に弱いトマトですが、落花生を育てることで余分な水分を吸収してくれる
- トマトの根は土中深く伸び、落花生は浅く伸びる為、互いに競合せず、それでいて程よく絡まることでトマトの病気に対する抵抗力が高まる
- 落花生の根に棲みつく根粒菌が作り出す窒素成分の一部がトマトの養分にもなる
8月中旬にトマトの収穫が終わっても落花生をそのまま育てると9月中旬から10月中旬にかけて落花生もまた収穫できます。限られたスペースを有効活用できるのも魅力ですね。
最後に
時期的にはもう遅めですが、まだ何とか間に合うトマトの栽培。
これからやるって方はこれらのコンパニオンプランツを試してみたら如何でしょうか?
「トマトが赤くなると医者が青くなる」や「トマトをつくる家に胃病無し」と言われるようにトマトの健康効果は計り知れませんね。
血液を浄化し脂肪の消化を助けてくれるのはナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのアルカリ性のミネラル分。
血管強化作用、拡張作用を促すのがビタミンCやルチン(ビタミンP)。これにより高血圧や眼底出血に効果が期待でき、赤色の色素であるリコピン(カロチノイド)は免疫力を高め、ガン予防を発揮。さらにはペクチン(食物繊維)は整腸作用を促進し、グルタミン酸、アミノ酪酸は健脳効果まであるそうです。
良いことずくめのトマトですがひとつだけ注意したいのは、トマトは陰性の食物で体を冷やす作用がある点。もっとも夏野菜ですから冷やしてくれるのは良い点でもありますが、現代のように真冬でもトマトを口にする時代、体を温める作用のある塩を加えたり、温かい料理に使ったりすることで工夫すると良いようです。