節分と言えば、豆まきが一つの行事として古くから行われてきましたが、この豆まき。もとは季節の変わり目には、邪気が生じると考えられ、悪霊払いに行われていた宮中で行われていた儀式だったそうです。
「節分」。確かに季節を分けると書きますね。今では恵方巻きやイベント行事の、商売戦略的な面ばかり取り沙汰されていますが、実はこの節分には、季節の移り変わりを教えてくれる役目があるのです。
今回は、カレンダーによく見かけるけど、実はよく分かっていない暦のいろいろ。調べてみましたのでご紹介します。
旧暦と新暦について
旧暦とは本来、太陰太陽暦(たいいんたいようれき)と言い、新暦である太陽暦に対して言う暦法です。
日本では飛鳥時代より旧暦を採用してきましたが、1872年(明治5年)の12月3日を1873年(明治6年)の1月1日として現在に至っています。
月の満ち欠けや運行を基にして、季節変化(二十四節気など)や太陽暦の要素も取り入れて作られた旧暦に対して、 新暦である太陽暦は地球が太陽の周りを1周する期間を1年と定め、これを1太陽年としています。
新暦の一種である世界共通のグレゴリオ暦では、1年を365日、4年毎に閏日(うるうび)を1日おいて366日としていますが、400年に3度は閏年を設けないとしています。(西暦年が100で割り切れ、かつ400で割り切れない年)
よって次に閏年のタイミングで閏年としないのは2100年になります。
季節を把握するためにある二十四節気(にじゅうしせっき)と雑節(ざっせつ)
今では、節分ばかりが目立ってはいますが、実は節分というのは「雑節(ざっせつ)」という1年間の季節の移り変わりを的確につかむために、特別に設けられた九つの節目の内の1つです。
この雑節には「二十四節気(にじゅうしせっき)」という、1太陽年(地球が太陽の周りを丁度一周する期間)を24等分にした暦の補助的な意味も持っています。
太陰暦(月の運行による暦法)では、月の周期を基準としていましたから1ヶ月を29日か30日とし、1年を12ヶ月と定めていました(太陽年より11日短くなった分は閏年に13ヶ月として調整)のでどうしても暦と季節、春夏秋冬にずれが出てきてしまい、農作物を育てるのに、大変不自由でした。そこで古代中国で考え出されたのが、二十四節気です。古くから日本でもこれを取り入れて使っていたわけです。
二十四節気の基準として古くは、冬至を起点としていましたが、現在は太陽が春分点から黄経上を15度毎に1節気としています。
二十四節気の四季
※旧暦では十二節気の1節気を1ヶ月とする区切り方を節切り又は節月といいます
春
立春(りっしゅん)・雨水(うすい)・啓蟄(けいちつ)・春分(しゅんぶん)・清明(せいめい)・穀雨(こくう)
新暦では2月4日頃から5月4日頃。
旧節月では正月正節(1月節)から3月中気。
夏
立夏(りっか)・小満(しょうまん)・芒種(ぼうしゅ)・夏至(げし)・小暑(しょうしょ)・大暑(たいしょ)
新暦では5月5日頃から8月7日頃。
旧節月では4月正節から6月中気。
秋
立秋(りっしゅう)・処暑(しょしょ)・白露(はくろ)・秋分(しゅうぶん)・寒露(かんろ)・霜降(そうこう)
新暦では8月8日頃から11月7日頃。
旧節月では7月正節から9月中気。
冬
立冬(りっとう)・小雪(しょうせつ)・大雪(たいせつ)・冬至(とうじ)・小寒(しょうかん)・大寒(だいかん)
新暦では11月8日頃から2月3日頃。
旧節月では10月正節から12月中気。
雑節
1.節分:
節分は各季節の始まりの日の前日を意味します。
一般的に2月4日頃からの立春の前日を特に「節分」と称して行事が行われますが、実際には、立春、立夏、立秋、立冬の前日のことを指します。
その中でも立春は年の節目でもありますから、この日が特に年中行事として残っているのでしょう。
2.彼岸(ひがん)<春・秋>:
彼岸は春分、秋分を中日として前後3日間、合計で1年に14日間あります。
この日に行われる仏事を彼岸会(ひがんえ)と呼び、彼岸と言う言葉は仏教と関係がありますが、この雑節でいうところの「彼岸」はあくまでも季節を把握するためのひとつの名称としてとらえるべきかと思います。
昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言うように冬の寒さは春分頃まで、夏の暑さは秋分頃までには和らぎ、凌ぎやすくなるのが毎年の気象庁のデータでも裏付けられているようです。
3.社日(しゃにち)<春・秋>:
「社」とは古代中国に由来し、土地の守護神のことを意味します。日本では産土神(うぶすながみ・うぶしなのかみ・うぶのかみ)を祀る日で春は春社(しゅんしゃ・はるしゃ)、秋は秋社(しゅうしゃ・あきしゃ)と言います。
春分または秋分に最も近い、※十干(じっかん)の5番目である戊(ぼ・つちのえ)の日が社日となりますので、これも毎年変わります。
大方、春は3月20日前後、秋は9月20日前後となります。
※は「十干十二支の意味」参照
4.八十八夜(はちじゅうはちや):
立春を第1日目として88日目、つまり立春の87日後の日となります。
もともと旧暦では暦日と季節が最大で半月もずれるためこのような雑節で季節を把握できるようしていました。
平年では5月2日、閏年では5月1日、長い将来的には立春の変動に合わせて5月3日となることもあります。
5.入梅(にゅうばい・ついり):
本来では梅雨入りのことを言い、地域と年によって日付はことなりますが、季節を把握するための雑節では新暦での6月11日頃(太陽黄経80°)のことを指します。
6.半夏生(はんげしょう):
かつては夏至を1日目として11日目としていましたが、現在では天球上の黄経100°の点を太陽が通過する、毎年7月2日頃にあたります。
烏柄杓(からすびしゃく)という里芋科の一種の薬草が生える頃で、この時期は農家では重要な節目で、この日までに田植え等を終えておく目安としていました。
7.土用(どよう)<春・夏・秋・冬>:
古代中国の五大思想に由来する暦で、夏を始めとし、立夏・立秋・立冬・立春の直前18日間を指しますので、最終日が節分となります。
一般的に、立秋直前の夏の土用の丑の日にウナギを食べる習慣は全国的にありますね。
8.二百十日(にひゃくとおか):
立春を1日目として210日目で、大方9月1日頃を指します。
必ずしもそうではないが台風が来る季節でもあるので、農家では厄日とされているようです。
これも季節の変わり目を認識するのに必要な雑節なのでしょう。
9.二百二十日(にひゃくはつか):
立春を第1日目として220日目を指します。
現在の平年なら9月11日、閏年なら9月10日で、将来的には立春の変動により9月13日となることもあります。
台風が多い季節とも重なり、二百十日と共に農家では厄日とされています。
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