毎年この時期になるとホームセンターや園芸店ではたくさんの夏野菜の苗などが店頭に並びますね。
都会に住んでいてもベランダなどで家庭菜園をする方は意外とわたしの近所にも多いです。
我が家では毎年トマトを育てるのが恒例となっています。もちろん家庭菜園ですから、わざわざ化学肥料などリスクのあるものは全く使わず、極力いわゆる「自然栽培」に近い形で育てます。
今回はトマトの苗を植え付けるときのちょっとした裏技、というほどでもないですが、コツをいくつかご紹介します。
あくまでも素人の家庭菜園レベルですが、この方法をするのとしないのとでは結構、収穫量が違う気がしていますので是非、お試しください。
自然栽培
家庭菜園ですから、気軽にやれば良いのですがその前に一応予備知識として自然栽培のポイントだけまとめておきましょう。
これを知っておくと家庭菜園とは言え、今後の取り組みに面白さがプラスされると思います。(サクっと始めたい方は飛ばしてOK!)
まず自然栽培とはどんな栽培法かといえば、その名の通り自然の力で栽培するのですが、そうは言っても自然の力だけでは人が美味しく食べる野菜を収穫するには不十分です。
野菜も人間都合で生きているわけではありませんからね。
そこで人間がその収穫したい野菜が十分に育つように最小限で手を加えるのが「自然栽培」です。
方法は様々ですが基本的に自然栽培では
- 耕さないこと
- 持ち込まないこと
- 草を生かすこと
1.耕さないこと
在来農法では畑仕事と言えばまず鍬や耕耘機で堆肥を混ぜて耕すことから始まりますし、それこそが畑仕事って感じがしますよね。
でも自然農法ではその代わりに小さな微生物や虫、多種多様な植物の根の働きをそのまま生かして育てるのです。
本来植物は人間が土をほじくり返してやらなくても多様な生物の営みがあってその循環作用でそれぞれが合う環境に無理なく育つものですが、在来農法では人間が1つの野菜だけを大量に育てるやり方を追求した方法ですから、余計なもの(微生物や雑草)が邪魔者となり、徹底的に排除しなければいけないわけです。
大量生産を目指すが故に人は重労働をしなくてはならないのですね。
それに対して自然栽培では収穫量は少なくても、そういった重労働をしなくて済みます。
家庭菜園では収穫だけが目的ではないし、失敗しても良いのですからまさにこの方法が向いているというわけです。
2.持ち込まないこと
これはどういうことかというと、その畑、(やプランター)に本来自然にはない化成肥料や農薬を持ち込まない(使わない)ということ。
市販されている農薬などは正しく使えば人体に被害は無いとされていますが、所詮、厚生労働省が認可しているだけですから、真実は定かではありません。(だって国によって基準値は様々だし、人体実験をして安全を確認しているわけではないのですから)農薬のリスクは絶えることがありませんので自分で育てるのに使う必要は全くないですね!
それと肥料をすき込む時は結局耕さなければいけないのですからそういう意味でも化成肥料も御法度というわけです。
それから人工的なマルチシートなども藁や麦科の草で代用するなどします。
でもそれでは野菜に必要な栄養を供給できないし、害虫被害に遭ったらどうすればよいか?と思いますよね。そこで次の「草を生かす」が必要になってきます。
3.草を生かす
畑なら畝の脇、つまり通路にライ麦などの植物を育てて伸びたらそれを刈って野菜の根元を覆う様に敷いてやります。
そうすることで畝の表面の温度差や水分の変化を緩和させることができ、害虫が付いたときにはその天敵となる虫の隠れ蓑にもなるのだそうです。
そうやって多様な生物の循環を間接的に作り出す手助けをするのが人の仕事と考えるわけです。
もちろん雑草も抜くこともせず野菜の妨げになる場合には刈ります。刈った部分はまた畝に蒔きます。全くゴミは出ません。

【自然栽培の畑】 畝に草を敷いているので土の部分はほとんど見えない!
コンパニオンプランツ
自然栽培ではできるだけ多種多様な植物の力を利用することがポイントですが、それぞれ互いに共生する植物と成長を妨げ合う植物があります。要するに相性ですね。相性がよく、共生できる植物を「コンパニオンプランツ」といいます。
今回はトマトですから、トマトと一緒に植えると相性の良い野菜を挙げてみます。
- エダマメ
- ラッッカセイ
- バジル
- ニラ
- ネギ
- シュンギク
- イタリアンパセリ
これらの野菜をトマト苗の近くに植えると互いに害虫対策や養分補給、土作りに役立つようです。
ただこれはそれなりに畑だとか露地植えできるスペースがないと難しいかも知れません。私方では一応露地植えですが、スペースが狭い(0.5坪程度)のでバジルだけ空いているスペースに植えたりしています。
プランターでも大きめなら一緒に植えることはできると思います。
それからネギやニラの苗を植え付けるときに根に絡めて一緒に植えると連作障害を防ぐ効果があるそうです。毎年同じ場所でやる方はお試しください。
相性が良い野菜を紹介したので、トマトと相性の悪い野菜、近くに植えてはいけない野菜も挙げてみます。(連作も不可)
- ナス科の野菜(ジャガイモ、ナス、ピーマンなど)
- ゴボウ
- オクラ
これらの野菜は混植とともにトマトを植えていた前後期でも良くないそうですので注意してください。前後に育てると良い野菜は次の通りです。
- キャベツ
- コマツナ
- ブロッコリー
- ネギ
- ニンニク
- レタス
- ホウレンソウ
- ソラマメ
トマトの植え付け
いよいよ、植え付けです。
私がここ数年続けている植え付け方をご紹介します。これはあの映画にもなった「軌跡のリンゴ」の木村秋則さんが紹介していた方法でもあります。ご存じの方も多いかも知れませんがまだトマトを育てたことがなくてこれからやってみようって方には是非おすすめの方法です。
- トマトの苗の成長点部分の葉2,3枚程度残してそこから下の葉はすべて取り除きます。
- 花が付いていても取り除きます。
- 植え付ける場所は通常より浅めに掘ります。(根鉢のたて半分くらいの深さ)
- 根鉢から苗を取り出す。(このとき土が崩れないようにそっと)
- 根鉢の形をのこしつつ、そのまま穴に寝かせるように入れる
- 真横に寝かせるので土部分のたて半分が地上に出た状態でOK
- 先端以外の茎部分に薄く土を覆う様にかぶせる
- 残しておいた葉の下に枕のように土を入れてやり葉が埋もれないように出しておく
これが、「横植え法」という定植方法です。
ポイントは先端部分以外の葉を取り除く事で、トマトはよりいっそうの生命力を発揮するそうです。
トマトはもともとたくましく茎部分が土に触れるとそこから根を生やし根付く性質があり、それを利用し、横にしてやることで土に触れている茎からたくさんの根を生やし、栄養分を吸い上げる力を高めるのです。 凄い生命力ですね。
注意すべきは、横にした茎部分を深く植えても駄目で、地上に出てしまってもいけないところですね。

先端を残しそれ以外の葉を取り除き真横に寝かせる

茎の部分に土を軽くかける

先端の葉だけでるように

翌日にはこのくらい立ち上がります。
トマトの雨対策
トマトはヨーロッパに伝わる以前は南米ペルー、エクアドルが原産地でその後18世紀にイタリア人が食べたのが食用の始まりだそうです。
日本には1580年頃、ポルトガル人によって伝わりましたが、最初は観賞用として楽しんでいたにとどまっていました。
日本人が本格的にトマトを食べる様になったのは昭和30年代になってからなんです。
日本の気候ではどうしても梅雨時、雨が多くなります。水を多く吸い上げてしまうとトマトの実は割れてしまいますので、水の与えすぎは禁物で、私は露地植えなので水は全く与えていませんがそれで十分なようです。プランターでも土がよく乾いてからほどほどに与える位で良いと思います。
露地の場合、さらに雨対策にマルチシートを使ったり藁を根元に敷き詰めます。(自然栽培ではマルチシートより草を敷き詰めるのが基本ですがトマトの場合、とにかく雨を嫌いますのでマルチシートの方が有効かもと思い私はマルチでやっています。)
最後に
もともと生命力が強く、近頃の改良された苗はよく育ちますから、誰にでも家庭菜園で始めるには持ってこいのトマトだと思います。
毎年続けていると、年々収穫量も増えて夏から秋にかけての時期は本当に重宝します。
我が家ではいつもミニトマト3株、大玉1株の4株ほど育てますが食べきれないほど収穫できています。これからトマトをやってみようって方は、是非今回ご紹介した横植え法でやってみてください。